今回は日本酒のマナーについてのお話です。桝酒(ますざけ)ってどうやって飲むの?手酌させるのは失礼なのかな?などの疑問をQ&A方式でご紹介します!
一度は見たことがあると思います。桝の中にグラスを入れて、グラスからこぼれた分を桝(ます)やお皿で受け取る、アレです。↓
これは「もっきり」「もりこぼし」等と呼ばれます。
「目いっぱいサービスしてますよ」のアピールとして始まった慣習と言われているので、実は決まった作法はありません。自分の好きに飲んで大丈夫です。
「もっきり」の飲み方は基本的にグラス、桝のどちらから飲んでも問題ありません。
ただ、こぼれにくい(酒を無駄にしない)飲み方としては
②桝から持ち上げ、おしぼり等でグラスの底を拭き、机に置く
③グラスの日本酒を先に飲んでしまう
④桝に残っている日本酒をグラスに注ぐ
という流れがスマートでしょうか。
④のところはそのまま桝(ます)から飲んでもいいです。
ただ、枡酒の枡って四角い形をしており、洗いにくいので四隅の部分に汚れが残りやすく、あまり衛生的でない…と、利き酒師の資格を取るときに習いました。
また、枡は漆塗りの他、ヒノキを使った木枡があります。
材質が木で傷みやすいので洗剤は使わず、水洗いをすることが推奨されています。
きちんと管理出来ているところならいいですが、大衆居酒屋でどの程度、枡の衛生面が保たれているのかは不明です。
なので私は枡から直接は飲まないかな…まあ枡に入った日本酒を飲むんだから結果一緒ですけど(笑)
直接木枡から飲まなくても、グラス内のお酒を飲んでいる間に香りは多少移るので、私は最後は枡からグラスに移して飲む派!です。
上司や先輩が飲んでいると迷うのがこのパターン。
手酌させるのも失礼かな?と思いお酌したいけれど、おちょこって小さいし、数口飲んでは空になる。
毎回お酌しなくちゃいけないの?ってなりますよね。
この場合は、最初の1回目は注いであげて、あとは数回に一回程度のお酌で大丈夫です。
注がれる方もずっと見張られてるのもプレッシャーなはず。
…なんですけどオジサマの中には古い考えの方もいて、お酌は女性がやって当然という態度の人もいます。
私も以前、社の宴会で「中身の見えないグラスでも傾きを見て、どのくらい残っているか推測してお酌しろ」と言われたことがあります。
「じ ぶ ん で や れ (怒)」とキレそうになりましたが、会社関係の飲み会の場合はそれも仕事と割り切りましょう。
そんな古ダヌキのオジサマ以外は毎回お酌しなくても自分のペースで楽しむはずです。
でも、なにか話に夢中になってるなどで、長時間お猪口が空になっている場合は、「お入れしますか?」とたずねて様子を見つつ、数回に一回くらい、「どうぞ」とお酌をしてあげましょう。
私達酒飲み仲間は大体、みんな徳利&おちょこで飲み始める前に、「手酌するからお構いなく!」と宣言していますよ。
基本酒好きは自分のペースで好きに飲みたいんです。
以前話題になった珍マナーで
お酌をする時は、とっくりの注ぎ口を使わずにお酒を注ぐ
というものがありました。
これを聞いた時「え?」と思われる方も多いと思います。私もです。
だいたいとっくりの注ぎ口って、お酒を注ぎやすいように造られているのに何であえて使わないのか。
更に日本酒は水よりも少し粘性があるので、注いだ時に注ぎ口を使わないと、とっくりの胴体を伝いやすいです。
そうするととっくりがだんだんベタベタしてきて、いいことなどありません。
ではなぜこんなマナーがあるのでしょうか?
理由は下記のものに由来するそうです。
①戦国時代に武将を暗殺するために、注ぎ口に毒を塗られることが多かったから
→現在はそんな心配いりません。
②注ぎ口を上向きにすると宝珠(先端のとがった、宝玉)の形に見え、美しく見えるから
→注ぎ口を上に向けられて、宝珠を連想する人ってどのくらいいるんでしょうか?
③注ぎ口は「円(縁)の切れ目」だから縁起が良くない
→現在あてはまる理由としてはこれでしょうか。でも例えこの知識を相手が持っていたとして、注ぎ口から注がれて「マナー違反だぞ」なんていう人、こちらから縁を切ったらいいと思います。
このマナーを守ってお酒がこぼれたらそれこそ不快じゃありませんか?
とっくりでお酌をする時はちゃんと注ぎ口を使いましょう。
それよりも徳利(とっくり)に関しては以下の行為がNGマナーとされています。
- のぞき徳利→徳利内を覗いて、残量を確認すること
- 振り徳利→徳利を振って、残量を確認すること
- 合わせ徳利→数本のとっくりの中身を一本に寄せ集めること
- 倒し徳利→空になった徳利を倒しておくこと
「のぞき、振り、倒し徳利」等は徳利が透明でなく、中身が見えないからこそやってしまいがちな行為ですよね。
徳利でお酌をしたり、されたりする場合は気を付けましょう。
吟醸酒系は15℃前後で薫りを楽しむタイプが多く、冷やして飲むことが推奨されます。あまりカンカンに温めてしまうと吟醸香が飛んでしまうからです。
燗酒…と言えば純米酒、生酛(きもと)、山廃系のお酒が推奨されますが、じゃあそれ以外は燗にしちゃけないのか?と言われればそんなことはありません。
下記にも書きましたが、日本酒は様々な温度帯で楽しむことの出来る、珍しいお酒です。
まずはぬる燗で試してみれば、どんなタイプの日本酒でも台無しになることはありません。
結論から書いてしまうと… 燗に向く日本酒…純米酒、生もと、山廃造り、熟成酒 燗に向かない日本酒…大吟醸酒、吟醸酒、生酒、新酒 というのが一般的です。 その理由は… 温度によって感じやすい味覚が変化するた[…]
お店によっては「このお酒はこの温度帯で飲んでほしい」とこだわりを持っているところもあるので、断られる場合もありますが「〇〇な日本酒だから…」と縛られずに燗酒をお願いしてみましょう。
燗酒メインの日本酒専門店もたくさんあります。
あれもやっちゃいけない、こうしなきゃいけない…だと日本酒に対する敷居が上がってしまいます。マナーに縛られてガチガチになる必要はありません。
でも失礼にならないように、こういったマナーもあるんだな、と知っておくとみんなで気持ちよく日本酒を楽しむ事が出来ますよ。