ラベルに書いてある製造年月日=賞味期限? けろりん 日本酒ラベルに製造年月日の表記があるけど、これは賞味期限のこと? たま先生 違います。製造年月日は日本酒が容器もしくは瓶に入れられた日を[…]
新酒とはどんなお酒のことを指す?
冬の時期、ラベルに「新酒」と書かれた日本酒をよく見かけます。日本酒は寒い時期に造られるのが一般的で、現在では11~3月頃が最も新酒が出回る時期です。
たま先生 日本酒が一年のうち、いつ頃造られるのか、知っていますか? 実は日本酒は一年を通して造られていた時代と、冬の時期のみ造られていた時代があります。冬の時期に日本酒を造ることを「寒造り」、一年を通して造ることを「四季醸造[…]
でもこの「新酒」という表現。実は決まった定義は無く、とても曖昧なものなのです。造りたてホヤホヤの日本酒以外にも「新酒」にくくられる条件があり、どれも正解です。
「新酒」の定義
新酒定義パターン1 酒造年度中に造られたもの
酒造年度とは、7月1日から翌年の6月30日までの一年間のことを指します。なので7月1日以降に造られ、翌年6月30日までに出荷される日本酒は全て新酒です。
新酒定義パターン2 寒造り後、火入れをしているかしていないか
寒造りのみが行われていた時代、冬に仕込んだお酒を春先に上槽しますが、そのお酒に火入れをしないで春に出荷するお酒を「新酒」としていました。
それに対して、火入れをして夏の間貯蔵し、秋口に出荷するものが「古酒」(※現在のひやおろし)とされていました。
醸造技術が進歩し、季節を問わず日本酒が造れるようになったので「酒は寒中に造り、春先に出荷するもの」という意味が薄れてしまったからです。
新酒定義パターン3 その年に収穫された新米を使っているかどうか
使用米が新米なのか古米なのかで区切る場合もあります。新酒定義パターン3は新米を使ってかつ、寒造りをした日本酒を指します。
酒造年度で区切る新酒(新酒定義パターン1)が1年間なのに対し、新米を使っているものを新酒とする場合は11月~春先頃までの数か月間です。
日本酒は「寒造りがメイン」と覚えておくと、新酒が春先に沢山出回る理由が分かります。
新酒定義パターン2、3の新酒は熟成が進んでいないので軽い飲み口の物が多いです。火入れしていないものが多く、酵母がピチピチと弾ける爽やかさを感じることが出来ますよ。
古酒、熟成酒の定義とは
新酒があるということは古酒もあるということ。ただ新酒同様、古酒の定義もきっちり決まっている訳ではありません。日本酒には基本、賞味期限は無いからです。
長期熟成酒研究会(酒造会社による任意団体)が定義している古酒は「満3年以上蔵元で熟成させた、糖類添加酒を除く清酒」となっています。
熟成酒、古酒として蔵元が出す場合は、出荷された時が「飲み頃のベストな状態」とされているので、タンクで数年寝かされてから出荷されます。
なので製造年月日が今年のものでも、実際にお酒が造られたのは数年前、と言う事もある訳です。
蔵元で数年寝かせるので出荷までに時間もかかり、貯蔵中の管理コストもかかるので、通常のものよりも価格はお高めの物が多いです。
味はまったりとした丸みのある味で、コクがあります。熟成させることで更に味が乗ってくるのです。
熟成感が出ているものであれば1、2年の浅い年数であっても「長期熟成酒」と書かれているものもあります。
このように「古酒」の定義も曖昧なものなのです。
上述の新酒定義パターン2の部分に記載したように、ひと昔前は火入れをするかしないかで新酒・古酒の区別をしていました。
酒造年度中に火入れをして貯蔵し、秋口に出荷される「ひやおろし」は「古酒」扱いだったんです。
しかし現在、酒造年度中に造られたものは新酒扱いの定義があるため、ひやおろしは「古酒」の扱いからは外れています。
自分で「古酒、熟成酒」を育てるのもあり!
古酒は貯蔵する年数や管理の手間がかかるので、お店で買うと新酒よりも高めです。ですが正しい管理をすれば通常の日本酒を自宅で熟成させることも出来ます。
自宅で日本酒を上手に熟成させる方法
①紫外線を避けるために新聞紙などでくるみ、光に触れないようにする
②冷蔵庫の奥の、あまり動かさない安定した場所に立てて保管する
※日本酒瓶の高さの都合上、野菜室に保管する方も多いようですが、引き出し式の野菜室の場合はしょっちゅう振動が伝わるので、冷蔵室保管がおすすめです。(冷蔵室のドアポケットも開く時に振動が伝わるので避ける)
これだけです。
もし初めて日本酒の熟成に挑戦するのであれば火入れをした純米酒がおすすめ。生酒だと温度管理がうまくいかなかった場合、劣化してしまいます。
日本酒における熟成と劣化の違い 日本酒には賞味期限はありません。なので味を気にしなければ古い日本酒を飲んでも食中毒のような状態とはなりません。しかし数年経過し、それが「熟成」したものか「劣化」したものかによって風味は大きく変わってきます。[…]
熟成させるオススメタイプは純米酒。
中でも生酛(きもと)造りはタンク内の栄枯盛衰を生き抜いてきた、たくましい酵母が造ったアルコールと、乳酸菌が造った乳酸の程よい酸味が力強い日本酒。熟成させることで力強さに丸みが加わって更に奥深い味わいが楽しめますよ。
前回は速醸系酒母と生酛系酒母について、更に生酛系酒母はその造り方によって生酛仕込み、山廃仕込みに分けられることを書きました。 [sitecard subtitle=関連記事 url=https://anz-shop.com/syubo[…]