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日本酒のグラスを使い分けるメリットは?日本酒タイプ別おすすめ酒器一挙ご紹介!

酒器を気にしてみると日本酒はもっと美味しくなるよ

「日本酒はおちょこで飲むもの」と思っていませんか?ワイングラスにはシャンパングラス用、味の濃いボルドー用等、様々なグラスがあります。なぜグラスの形が違うのかというと、飲み口も香りも味も全然違うから

日本酒も同じです。特定名称酒の違いの他、爽酒や薫酒等といったタイプによって、味も香りも全然違います。それなのに全ておちょこで飲むなんて面白味がないですよね。
最近は香り高い日本酒も人気があるため、ワインと同じようにワイングラスで日本酒を提供するお店も増えてきています。

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特定名称酒の条件
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爽酒・薫酒・醇酒・醇酒四つの分類

爽やかなお酒、香り高いお酒、旨口のお酒…
その日本酒の長所を生かすグラスで飲むことで、最大限にそのお酒の味わいを引き出すことが出来ます。

 

笑顔のたま先生
たま先生
また驚くことに、同じお酒でも酒器を替えることで味が違って感じられるんです。
ほほーのかえる
けろりん
えー、グラスを替えただけで?
笑顔のたま先生
たま先生
なので、日本酒によって器を使い分けるだけでなく、同じお酒を違う器に注いでみて、味の違いを楽しむことも出来るんですよ。

 

人間は舌だけで味を感じているのではありません。
舌で感じるのは「味覚」だけです。お酒に限らず、食べ物飲み物全般の「味」は五感(味覚、視覚、嗅覚、触覚、聴覚)を使って脳で判断しています。

はてなのカエル
けろりん
??

例えば、ツヤツヤ精巧に作られた昆虫の和菓子(例え悪くてすみません)を見た時、「美味しそう!食べたい!」となりますか?目をつぶって食べれば甘くておいしい和菓子ですが、目でじっくり確認して食べようとすると、一瞬躊躇しませんか?

また、お肉の焼ける音お鍋がグツグツ鳴る音炭酸がはじける音が聞こえたら、食べてないのに「美味しそう」と思うのではないでしょうか?

このように人間は五感全てを使って味を判断しているのですが、味覚の他、特に嗅覚、視覚が特に大きな影響を及ぼします。

五感に訴える心地よい器を選び分けることで、更に日本酒を美味しく楽しく飲むことが出来ます。

日本酒の酒器の選び方にはまず何を重視するかで決めます。

 

目的としては主に…

①お酒の香味を最大限に引き出す目的の器(味覚・嗅覚重視)
演出効果を高める目的の器(視覚重視)

があります。

それぞれみていきましょう。

日本酒の特長を引き出す器【形編】

日本酒でよく使われているのが下記の形のグラスです。

うりざね型 ワイングラス 深皿型 ラッパ型 ストレート型
うりざね型 ワイングラス 深皿型 ラッパ型 ストレート型

うりざね型

胴体下~中央部分が膨らんでおり、飲み口がすぼまっているのが特徴。
香りをグラス内に閉じ込めてくれるので、穏やかな香りを楽しむお酒に最適です。香りが外に逃げにくく、飲んだ時に日本酒と一緒に香りが押し寄せてきます。

すっきりと削った繊細な香味の日本酒に適しています。吟醸酒を飲むのであれば、グラスは薄めの方が口当たりを邪魔しません。

または複雑でスパイシーな香りを時間の経過とともに楽しむ熟酒系にもうりざね型は適しています。
お酒が入っている側面を手で直接持つので、飲んでいるうちに温まりやすいです。冷酒~常温くらいまでの温度で楽しめるお酒がおすすめですね。

適した日本酒;純米大吟醸吟醸酒、大吟醸酒、吟醸酒(穏やかな香り系)、熟成酒

うりざね型おすすめ酒器

●うすはり大吟醸

グラスの薄さは0.9ミリ!そのため、吟醸酒系本来の口当たりや香りを楽しめます。
グラス下にある突起が繊細な香りを引き立てます。
※名前の通り、ものすごく薄いです。酔っぱらって洗うと絶対割ります(笑)私もプレゼントでもらったペアグラスを2個とも割り、自分で買い直しました?ひよこを洗うようにそっと扱ってあげてください(笑)

 

ワイングラス

うりざね型と同じく、繊細な吟醸系の香りと味を楽しむのに向いています。ワイングラスは脚がついているので直接お酒が入っている側面を持ちません。そのため、手の温度でお酒が温まりにくいです。冷やして楽しみたい炭酸系や、常温に近づくと香りが飛んでしまいやすい薫酒系におすすめ。

適した日本酒;純米大吟醸吟醸酒、大吟醸酒、吟醸酒、スパークリング日本酒

日本酒用ワイングラスおすすめ酒器

●リーデル ヴィノム 大吟醸グラス

個々のワインの特長を最大限に生かすグラスを開発しているリーデル社が、そのノウハウを生かした日本酒用ワイングラスです。
その名の通り、繊細な大吟醸の味覚を最大限に引き出してくれます!

笑顔のたま先生
たま先生
Riedel(リーデル)社は世界で初めてワインの特性に合わせたワイングラスを造った会社として有名なんですよ。

 

●日本製 漆 日本酒・ワイングラス 2客組

漆器は英語で「ジャパン」と呼ばれるほど日本を代表する伝統工芸品。
その漆をグラスの持ち手に装飾することで一気におしゃれな和の雰囲気に♪

深皿型

飲み口が大きくかつ、胴体部分も広がっているタイプ。ぐい呑みのように、側面の角度がないタイプも深皿型に当たります。
一口で飲める量が多くなり、お酒の旨味と甘みをしっかり感じることが出来ます。旨味重視の醇酒系がおすすめ。

適した日本酒;純米酒等

深皿型おすすめ酒器

純米酒は適応温度が非常に広く、冷やしても温めても美味しいタイプが多いです。季節に応じて夏は涼し気なグラス、冬は温かみのある磁器グラス、と使い分けてみてはいかがでしょうか?

●切子ぐい呑み盃 ペアセット 切子グラス

●五窯 ぐい呑珍味揃 木箱入り 桂山窯

ラッパ型

香り高い薫酒系におすすめ。ダイレクトに吟醸香を楽しむ事が出来ます。うりざね型よりも空気に触れる面が大きいので香りが強すぎると感じるようならしばらく置いて置くことで香りも落ち着きます。ラッパ型グラスの高さは様々なものがありますが、深いものほど香りは逃げにくくなります。
裾すぼまりの形で安定しないタイプもあるので、倒さないように注意。

適した日本酒;大吟醸、吟醸酒系(香りが高い系)

ラッパ型おすすめ酒器

●九谷焼 九谷和グラス ショットグラス

グラスの底部分が磁器になっています。色使いやデザインの見た目も可愛いらしい?

 

ストレート型

飲み口が広がっていないため、香りはあまり感じられず、薫酒系には向いて向いていません。
空気に触れる表面積が狭いのでスッキリした印象、アルコールの辛さを感じます。

舌に味がストンと落ちるのでダイレクトにお酒の味を楽しむ事が出来ます。

適した日本酒;普通酒、本醸造等

ストレート型のおすすめ酒器

●丸モ高木陶器 冷感花火 グラス 天開

こちらは17度以下のお酒を注ぐと花火の色が変化するというもの。見た目にも楽しいです。
きりっと冷やした夏酒をそそぐのにちょうどいいグラスですね!

 

日本酒の温度によって器を変える【素材編】

日本酒は冷やしても、常温でも、温めても美味しく飲めます。飲むお酒が冷酒なのか熱燗なのかで素材を変えてみるとより一層、日本酒の奥深さを感じることが出来ます。

ガラス

冷たい印象のあるガラスの器はやはり冷えた日本酒を注ぐのが一般的。ガラスは透明なので、熟成酒の黄金色や赤色酵母を使ったピンク色の日本酒など、そのお酒の色味をアピールしたい場合にもふさわしいです。

逆にガラスの器に熱燗を注いでしまうと、湯気で曇ってしまいますし、すぐに冷めてしまうので適していません。

適した日本酒;冷やした吟醸酒系のお酒

陶器・磁器

色も落ち着いたものが多いので見た目に温かみがあります。厚みもあるので口当たりが穏やかです。

陶器や磁器の酒器は、適応温度帯も広いですが、やはり見た目の温かさに合わせてぬる燗~熱燗がおすすめです。
飲み口が広めの深皿型の器で飲めば、お米の甘味や旨味をしっかり感じられます。

適した日本酒;ぬる燗~熱燗の純米酒

錫(すず)

錫の器は熱伝導率が高いので、冷たいお酒を注げば、すぐに冷え、温かいお酒を注げば温かくなります。
このため、注いだ日本酒の温度帯を長く保つことが出来ます。また、日本酒の雑味を取り除いてまろやかな口当たりにしてくれると言われています。

適した日本酒;冷酒~熱燗まで

個人的な意見ですが、錫の酒器は「ぐい飲み」より、「ちろり」を選択するのがおすすめ。以前、錫素材のぐい飲みを購入しましたが、冷たいお酒を注ぐと確かに温度はキープしてくれますが、まろやかになっていたかは「??」という感じでした。

逆に燗酒は錫の酒器に入れると確かにまろやかになります。
なぜそう判断しているかというと、錫のちろりをプレゼントでもらったのをきっかけに、もともと持っていたアルミのちろりと燗つけ比べをしたことがあるからです。←(自宅で一人でやりました。暗い)

同じ純米酒を40度くらいにそれぞれのちろりで温めましたが、舌への刺激感が違いましたね。

錫の酒器の威力を発揮するのは燗を付けた時じゃないかな…と感じています。なので錫素材で使うならちろりをおすすめします。

 

視覚に訴える・演出効果を高める器

笑顔のたま先生
たま先生
日本酒の味と香りの特長に合わせて酒器を選ぶことは大切ですが、酒器の美しさ、楽しさ等、視覚に訴えかけることも重要です。

温度で変化する酒器

上でもご紹介しましたが、注がれる日本酒の温度によってデザインが変わる酒器は視覚的に見ていても楽しいですし、温度変化を意識して味わうので飲みすぎ防止にもなります(たぶん)

竹製の徳利(とっくり)

青竹で出来た筒状の徳利で、同じく竹製のおちょこに入れて楽しみます。涼し気な印象をもたらしてくれます。海外ではこの竹筒の徳利でサーブされるのが人気です。

可杯(べくはい)

高知県のお座敷遊びで使われる盃の一種。
おちょこが「ひょっとこ」や「おかめ」、「天狗」の形をしています。

可杯(べくはい)は、おかめ→ひょっとこ→天狗の順にお酒が入る量が多く、サイコロやコマを回して当たった盃でお酒を飲む、というルールです。

ひょっとこは口部分に穴が開いているので塞がないといけないし、天狗は鼻部分が突起になっていて、どちらも飲み干すまで盃を置くことが出来ないという…。酒豪文化の高知ならではのお遊びですね?

 

他にも金色の漆器など、高級感を演出するものもあります。
お酒の特長、TPOに合わせた器を選択することでより日本酒を美味しく味わう事が出来ますよ。

 

器を変えて飲み比べ!形の違う酒器のセットおすすめ5選

本当に器を変える事で味が変わるの?

そんな時は形状違いがセットになったグラスはいかがでしょうか?お酒好きにも喜ばれるのでプレゼントにも最適です。自分ひとりで試してみるもよし、わいわい仲間で酒器を変えて楽しむもよし♪

グラスを変えると日本酒がどう違って感じられるのか、ぜひ一度試してみてくださいね。

●究極の日本酒グラス 蕾・花

お酒のプロが造った日本酒専用グラスです!

蕾=蕾のように、香りと米の旨みをやわらかく包み込む→純米酒向け
花=花のように、ふわっと香りが立ち上がり、やさしい味わいが口に広がる→吟醸酒向け

となっています。
どちらも優しい丸みのあるグラスとなっています。極端に形状が違う訳ではないので気分によって使い分けてもいいのではないでしょうか。

●リーデル 日本酒飲み比べ 2脚セット

大吟醸グラス=香りをグラス内に閉じ込め、すっきりした味わいを楽しむのに最適の形です。
純米グラス=持ち手はついていますが深皿型の特長に近いですね。
大ぶりで横長、飲み口の口径が大きい形状がお米の旨味と甘味を引き出します。

 

●感器工房 日本酒 呑みくらべ 杯セット

吟醸酒、純米酒、本醸造酒に適した形の器がセットになっています。
木箱の蓋が台皿としても使えるようになっていて、自宅にいながらお店で飲んでる気分も味わえるかも?女性なら色違いセットのパールトーンタイプもおすすめです。

 

●サケグラスセレクション 5点セット【KIMOTO GLASS】

うりざね型、ストレート型、ワイングラス型、深皿型、ラッパ型、のすべての形状タイプがワンセットになった木本硝子のグラスセット♪
サイズは100ml~160mlと小ぶりなので同じ何パターンかの日本酒を少しずつ注いで味の違いを試してみる等、いつもの晩酌が一段と楽しめます。

●じゃぱん 飲みくらべセット

こちらは磁器素材の酒器なので、冷酒だけでなく、燗酒の飲み比べで試してみてもいいかもしれませんね。片口も付いています。

 

 

笑顔のたま先生
たま先生
グラスの容量はキリッと冷やして飲みたいなら小さ目を選ぶと、ぬるくなってしまう前に飲み切ることが出来ます。
温度による香りや味の変化を楽しむなら、大きめグラスに半分くらい注ぐといいですよ。