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【淡・濃・旨・辛・甘】地域別!日本酒の味の特徴や違い

「やっぱり日本酒は新潟だよね!」「広島の地酒が好きなんだよね」なんてセリフを聞くことがあります。そう、日本酒にはエリアによって味の違いがあるんです。

ナホ
ナホ
今回は独身時代、全国の日本酒を飲み歩いてきた私が、各地方の日本酒の特徴を語ります!

日本全国の料理は各地域ごとに特有の味付けがあります。郷土料理はその代表ですよね。
お酒は基本、料理と一緒に味わうもの。なので日本酒の味もその地域のお料理に合わせて、造られることが多いのです。

さらに日本酒の原材料は主に米と水。水も地域によって硬度が違います。そうするとやはり日本酒の味に違いが出てきます。

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水の違い、男酒、女酒ってなんだ?

日本酒が地域によって造られる味、好まれる味が違ってくるのはなぜ?

①水質が違う

水質の違いで言うと兵庫の水は中硬水なので、どっしりとした酒質になり、水質が柔らかい静岡、新潟、京都等ではすっきり軽めのお酒になる傾向があります。

②気候が違う

気温が低い地域だと、低温で発酵させる吟醸造りに適しています。吟醸造りの日本酒は発酵スピードが遅い為、すっきりとした酒質、または吟醸造り独特の吟醸香のするタイプの日本酒になります。

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吟醸造りとは

 

反対に温暖な気候の地域だと発酵が早く進み、濃いめの酒質になる傾向があります。
温暖地域にも淡麗辛口のお酒はありますが、やはり寒冷地方の淡麗辛口の味とはまた異なる味がします。もちろん、どちらがいい悪いではありません。

ナホ
ナホ
寒冷地方の淡麗辛口→軽めですっきりとした飲み口
温暖地方の淡麗辛口→キレのある飲み口
って感じかなー

③捕れる魚、素材が違う

水質の違いの他には、その地域で捕れる魚の種類に合わせている場合もあります。

たとえば瀬戸内海はプランクトンが豊富で旨味の乗った魚が取れます。瀬戸内海に面している岡山・広島あたりはそれに合わせて地酒は旨みを感じるタイプが多いです。

白身魚を中心とした淡泊な食文化にも合うよう、淡麗甘口が好まれている地域もあります。濃・淡の違いはあれど、瀬戸内海付近の地酒に共通して言えるのは、キレは控えめな、優しい甘味を感じるタイプが多いことでしょうか。

高知県は太平洋側に面しており、カツオなど濃い味の魚が捕れます。地酒は淡麗辛口でアルコールのキレがさわやかなタイプの日本酒が多いのが特徴です。

ナホ
ナホ
高知でも日本酒屋さんをハシゴしたけど、バランスのいい本醸造タイプが多かったね!

高知は自然に恵まれていて新鮮な食材が豊富。食材が新鮮なので、味付けもシンプルなんです。だから淡麗辛口のお酒と相性がいい。

ナホ
ナホ
そうそう、かつおのタタキにはショウガやニンニクのすりおろしが乗ってるのが普通だと思ってたんだけど、高知で食べた時は薬味が何も乗ってなくて。
お店の大将に「ショウガとか薬味ないんですか?」って聞いたら「そんなもんと一緒に食べるのは鮮度の落ちたものしか食べられない都会人だ」とマウント取られたよ(笑)
ナホ
ナホ
分厚い酒質になりやすい雄町米も、高知ではあまり扱っていないって聞いたな。
笑顔のたま先生
たま先生
このように、その地域で捕れる魚や料理によって、好まれる日本酒の味というのが存在するんです。

全国の日本酒の味の特徴一覧

 

ナホ
ナホ
全国の日本酒を飲み歩いてみて、私が感じた各都道府県のお酒の印象はこんな感じかなー。

※あくまで主観です。日本酒の味の指揮は杜氏(とうじ)さんが取っています。
その地方の杜氏さんが別の地域の蔵元さんに行って指導したり流行りの味にしてみたり、ということもあるので全部がそういう味、という訳ではありませんのでご参考程度に。。

日本酒の味は甘口か辛口か、淡麗か濃厚か、の二つセットを組み合わせて表現されることが多いです。

淡麗…軽い飲み口、綺麗ですっきり
濃厚…味が濃い
旨口…奥行や深みがある
辛口…キレがある
甘口…糖の甘さ、お米の甘味

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辛口と甘口の違いって?

この表現を使って全国各都道府県の地酒の味の印象を記載してみました。

道府県
北海道 淡麗辛口(軽い飲み口、すっきりめ)
青森県 淡麗辛口(甘辛はニュートラルな印象)
岩手県 淡麗辛口(甘辛はニュートラルな印象)
宮城県 淡麗辛口
秋田県 淡麗辛口(酸味が心地よい)
山形県 淡麗辛口(香りが華やか)
福島県 淡麗甘口
茨城県 淡麗旨口
栃木県 濃厚甘口
群馬県 淡麗甘口
埼玉県 淡麗旨口
千葉県 淡麗辛口
東京 淡麗旨口
神奈川県 淡麗辛口
新潟県 淡麗辛口
富山県 淡麗旨口
石川県 濃厚辛口
福井県 淡麗辛口
山梨県 淡麗甘口
長野県 淡麗旨口
岐阜県 淡麗甘口
静岡県 淡麗辛口(酸味が少なめ)
愛知県 淡麗甘口(酸味が少なめ)
三重県 濃厚甘口
滋賀県 濃厚辛口
京都府 濃厚甘口
大阪府 濃厚辛口(酸味が少なめ)
兵庫県 濃厚辛口
奈良県 濃厚甘口
和歌山県 濃厚甘口
鳥取県 淡麗辛口(ドライ感がある)
島根県 濃厚甘口
岡山県 濃厚甘口
広島県 濃厚甘口
山口県 淡麗旨口(ドライ感がある)
徳島県 濃厚甘口(濃淡はニュートラルな印象)
香川県 淡麗旨口
愛媛県 淡麗甘口
高知県 淡麗辛口
福岡県 淡麗旨口
佐賀県 濃厚甘口(香りが華やか)
長崎県 淡麗甘口
熊本県 濃厚甘口
大分県 濃厚甘口(濃淡はニュートラルな印象)
宮崎県 淡麗甘口
鹿児島県 ※評価できるほど飲んでません
沖縄県 ※評価できるほど飲んでません

 

ナホ
ナホ
ちなみに北海道の日本酒って、都内では二世古国士無双くらいしか見かけないんだよね。
だから北海道の人ってあんまり日本酒飲まないのかなーなんて勝手に思ってたんだけど、札幌の日本酒屋さんに行ったらたくさんの銘柄の地酒があってビックリ。

 

ナホ
ナホ
お店のマスターに「北海道の地酒ってあまり他県に出回ってないから道民の方は日本酒あまり飲まないのかと思ってた」って言ったら、むしろ酒飲みが多いよ、道内で消費しちゃうから他地方に回す在庫が無いだけ。あと、こんなおいしい地酒を都会に送るの、もったいないし」とやっぱりマウント取られた(笑)

 

各地方に行くとその地域しか出回っていないお酒や、都心だと火入れ酒しか飲めない銘柄の生酒があったりと、新しい発見がたくさんありますよ!