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料理に合わせて日本酒を飲んでみよう!日本酒と料理の相性と効果

笑顔のたま先生
たま先生
今回は日本酒とお料理の相性のお話です。

日本酒を飲む時はだいたいお料理と合わせて飲みますよね。居酒屋やレストランに行ったときに、「お造りにはこの日本酒が合いますよ」とか「肉料理にピッタリ!です」等、アドバイスされたことはありませんか?

日本酒は種類によってお料理との相性があります。
嗜好も人それぞれなので絶対ではありませんが、「合う」、「合わない」という理由にはいつくか種類があります。

まずはお料理の味付けについて見てみましょう。

和食の味付けの基本とは?

料理をする時の基本調味料は「さしすせそ」+出汁(だし)が使われます。

「さしすせそ」=砂糖(さとう)、塩(しお)、酢(す)、醤油(しょうゆ)、味噌(みそ)、+出汁(だし)

これらの調味料から加わる味覚は…

  • 砂糖→甘味
  • 塩→塩味
  • 酢→酸味
  • 醤油、味噌、出汁→旨味

あとは素材、調味料の焦げなどからくる渋み・辛み等となります。

これらがバランスよく素材と組み合わさった時に「美味しい」と感じることが出来ます。

味覚のバランス

味覚のバランスのいい状態=美味しい状態

笑顔のたま先生
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なので基本は料理による味のバランスを見てから、どんなタイプの日本酒を合わせるのかを考えるとよいです。

日本酒と料理が「合う」組み合わせとはの法則とは?

1.同じ風味を持つ(同調)

「合う」中で一番多い、もしくは分かりやすい組み合わせです。同じ風味の者同士を合わせることで美味しいと感じることが出来ます。

  • 柑橘系の香りのするカルパッチョやサラダと、柑橘系の香りのする吟醸酒系
  • ほんのり甘味のある白身魚と控えめな甘味を感じる純米吟醸酒系

 

2.足りない味を補う(補間)

日本酒には甘味、酸味、旨味、渋み・苦味、辛み、がすでに含まれており、日本酒に無い味は塩味だけです。

※辛み、と言われるとピンとこないかもしれませんが、日本酒で言う辛みとはアルコールによる刺激によって感じられる「キレ」のことを指します。

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辛口と甘口の違いって?

甘味、酸味、旨味のバランスが良い日本酒に塩味の効いた食べ物を合わせると、足りない塩味が補間され、美味しいと感じます。塩味の強い食べ物と合わせる場合、香りは控えめなタイプを選ぶのがおすすめです。(魚介系の塩辛やへしこは生臭さとぶつかってしまう)

笑顔のたま先生
たま先生
出汁割、なんてマニアックな飲み方が流行っていますが、あれも塩味と旨味を日本酒に足し、補間して楽しんでいるんですね。
  • 塩辛と、旨口の純米生原酒、本醸造酒
  • おでんの出汁と純米酒

 

3.酒もしくは料理の長所を引き出す

日本酒は調味料としても使われ、食材の臭みを消したり、旨味を加えたりする効果があります。飲用としての日本酒も同じような効果があり、うまく組み合わせることによって、更に美味しく日本酒と料理を楽しむ事が出来ます。

  • 魚介類のお刺身と、純米酒(生臭みを消しつつ、魚介の旨味を引き立てる)

 

4.脂分や臭みなど、料理のくどさを消す

料理の油や臭みをお酒でサッパリと洗い流すことでバランスを取る事が出来ます。

  • 焼き魚やフライ物とキリっとした旨辛口純米酒
  • カツオ等クセの強い赤身魚と本醸造酒

 

純米酒系や本醸造系の日本酒は魚や魚介系の臭みを消し、旨味をプラスしてくれる、肉の脂っこさを洗い流す

 

「合わない」NGな組み合わせの例

1.反発する

料理とお酒の特徴がぶつかり合うと、どちらの風味も消し去り、欠点を引き出してしまうというもの。例えばクセの強い魚と香り高い日本酒を合わせてしまうと香りと生臭さが一緒に出てしまい、どちらも美味しく感じられなくなります。

  • 魚介類や血合いの多い魚と、フルーティな香りのする吟醸酒

 

2.味の濃さが違い過ぎる

料理の味と日本酒の味が違いすぎると、淡い味の方の本来の風味が判断しにくくなってしまいます。

  • 白身魚のお造り(サッパリ)と熟成古酒(どっしり)
  • 魚介類の甘露煮(まったり)と低アルコールの爽酒(さわやか)

 

3.特定の味覚を足し過ぎる

もともと濃い(くどい)味付けで味覚バランスは十分なのに、更にどっしりとした旨味のある日本酒を持ってきてしまうと、疲れてしまいます。

  • かば焼き、豚の角煮等濃い&甘辛な味付けの料理+無濾過生原酒や熟成酒

 

笑顔のたま先生
たま先生
日本酒は懐が深いので基本、どんな料理にも合わせられますが、あまりに極端な組み合わせにしてしまうとチグハグな印象になってしまうので注意しましょう。

 

日本酒には主役を張れるタイプと名脇役のタイプがあるよ

日本酒には単体で楽しんだ方がいいタイプと、合わせるお料理があってこそ、良さが際立つタイプがあります。

単体で楽しんだ方が美味しい日本酒

香りが際立ち、フルーティなタイプは単体で飲んで楽しむのがおすすめです。
華やかな日本酒は料理に合わない、と言う訳ではありませんが、あまり強い味の料理と合わせてしまうとせっかくの香味が分かりにくくなってしまいます
食前酒として初めの方に注文するか、サラダやカルパッチョ、シンプルな味付けの料理と一緒に楽しむ方が良いでしょう。

単体で楽しむ日本酒の一例(※ほかにもたくんあります。ほんの一例です)

たかちよ(ひらがなタイプ)、風の森 ALPHA TYPE1、獺祭などの吟醸系

料理と合わせると美味しい日本酒

一方、料理と合わせると美味しいお酒は「食中酒」と言われ、香りも控えめで全体の味のバランスもとれています。
料理を口の中に含みながらお酒を含んで、料理の味わいを増長出来るタイプが多いです。

食中酒として楽しむ日本酒一例(※ほかにもたくんあります。ほんの一例です)

伯楽星、会津錦、ちえびじんの純米系

【番外編】コンセプトがはっきりしている日本酒

美味しい日本酒は多々あれど、タイプも味も全く違います。だからこそ、料理との合わせ方を迷うことも多いですよね。

日本酒の中には下記のもののように、私達消費者に「これと合わせて飲んでみてね!」というメッセージが明確になっているものもあります。

牡蠣に合う日本酒

牡蠣に合う日本酒

名前もラベルイラストもピンポイントですね(笑)

五百万石使用、アルコール度数は12%なので軽めな口当たりで飲むことが出来ます。

シーフードに合う日本酒

今田酒造の海風土。「シーフード」と読みます。
こちらも蔵のある広島 安芸津の特産品である牡蠣に合う日本酒を造りたいとの想いから造られたお酒です。

名前の通り、魚介類との相性を考えた日本酒。

レモンにもたくさん含まれるクエン酸を大量に造る白麹を使用。
爽やかな酸味が魚介類の生臭みを消してくれます。

レモンを絞って食べる料理や魚介のカルパッチョと合わせると相性抜群!

白ワインの感覚に近いので、洋風料理によく合います。

ステーキと合う日本酒

こちらはアンガス牛がドーンとデザインされた日本酒らしからぬデザイン。一目で「肉料理に合わせる日本酒だな」と分かります。

COWBOY YAMAHAI(かうぼーいやまはい)

しっかりした酸味と高めのアルコールが肉の脂身をスッキリ流してくれます。山廃造りの複雑で深い旨味と酸味。ステーキに負けないしっかりとした味わいです。

アルコール度数が高めなので飲みすぎ注意!ですよ。

 

合うものを指定されたら、合わさずにはいられないですよね。
でも、まだまだ消費者にどんな風に飲んでほしいのかのメッセージをくれるお酒は少ないような気がします。

 

また、「どの日本酒がどの料理に合うかなんて、分からない!?」なんていう場合はこんなサイトで検索してみてはいかがでしょう。

↓こちらの「SAKEぐる」サイトではまずお酒を選ぶと、そのお酒に合うグルメをあらかじめセットにして提案してくれます。

\どのグルメを合わせる?/ 

 

トップページをスクロールすると、下の方にお酒を選んでからグルメのジャンルを選択できるようになっています。もちろん日本酒以外も選べます。

組み合わせから選ぶ

 

自分でペアリングを体験してみたり、もちろんプレゼントにも喜ばれるのではないでしょうか。

個人的にはお福正宗純米吟醸、カマンベールチーズ味噌漬けが気になる…

 

笑顔のたま先生
たま先生
「こんな料理に合わせてほしい」「お祝いの席の乾杯のシーンで飲んで!」等、具体的なメッセージをくれる地酒がもっと増えるといいなあ、と思う今日この頃です。