外国産米を使用した日本酒は「日本酒」とは名乗れない
日本酒は平成27年に国税庁によって「地理的表示」と指定されました。
下記、国税庁のHPにこんな記述があります。
【地理的表示 日本酒】(ちりてきひょうじ にほんしゅ)
地理的表示制度は、酒類や農産品において、その確立した品質、社会的評価又はその他の特性が、当該商品の地理的な産地に主として帰せられる場合において、その産地名を独占的に表示することができる制度です。海外の地理的表示としては、「ボルドーワイン」や「スコッチウイスキー」などがあります。
地理的表示「日本酒」は、国レベルの地理的表示として、平成27年12月25日に指定を受けました。
原料である米、米こうじに日本国内産米のみを使用し、日本国内で製造された清酒に「日本酒」と表示することができます。海外産の米を使用した清酒や、日本以外で製造された清酒が国内に輸入されたとしても、「日本酒」と表示することはできません。
この文章を読むと、日本酒の条件は「国産米を使い、更に日本国内で製造されたものに限る」とありますね。
日本酒はお米と米麹、水、そして醸造アルコールを使用して造られます。
純米系以外の日本酒には醸造アルコールが添加されますが、これはサトウキビから作られるものが多く、外国産が殆どです。
この中で必ず国産じゃないといけないものは米と米麹。
最近では醸造アルコールも国産にこだわったタイプの日本酒も出てきていますが今のところ、醸造アルコールや水は対象になっていません。
ですので醸造アルコールや水が外国産でも「日本酒」と表現出来ます。
日本酒は人の技術はもちろんですが、微生物が活躍して造られる繊細な飲み物です。伝統的な手法や気候、風土の違いが大きく影響することから、「国産米を使用して、国内で製造されたもの」だけが日本酒を名乗れるのですね。
現在は海外でも日本酒が作られていますが、日本酒が地理的表示として指定されてからは
国産米を使って、日本で作られた清酒⇒JAPANESE SAKE
外国産米を使用、または海外で作られた清酒⇒SAKE
と区別されるようになっています。
外国でも日本酒造りに真摯に取り組まれているところもあります。
が、世界で広く日本酒が造られ、たくさん飲まれるようになると同時に、良くない日本酒が出てきてしまう可能性も高くなります。
日本酒を知らない方がそれを飲んで「日本酒なんておいしくない!」と誤解される恐れもありますからね。
条件を満たさないと表記してはいけない日本の地名
山形
山形は国産ワインの産地としても有名ですが、清酒においても地理的表示として指定されています。
山形県の冬期の気温は、酒造りにおける雑菌の繁殖抑制と低温長期発酵に適しています。
冬の積雪から優良な地下水に恵まれ、透明感のある吟醸香豊かな酒質が特徴です。
灘五郷、はりま
どちらも兵庫県の瀬戸内海に面している側の地域です。
灘五郷には六甲おろしが吹き、寒造りに適した気候となっており、さらに「灘の宮水」と呼ばれる日本酒造りに適した水に恵まれています。
この地域の清酒は灘五郷の気候や水の特性を活かし、調和のとれた日本酒造りが確立されています。
そして、「はりま」は酒米の代表格である山田錦誕生の地です。日本酒に「はりま」と表示するためには兵庫県産の山田錦のみを使用している事が条件となります。
このように地理的表示で区別することで粗悪な質の日本酒を排除し、国産の日本酒ブランド、地域ブランドを確立させることが目的です。