日本酒の中には、ピチピチとガスの爽やかさを感じられるお酒があります。
この炭酸飲料のようなシュワシュワ感のあるタイプのものを、スパークリング日本酒と言います。
酵母が発酵する際に発生させるガス由来のものと、炭酸ガスを後から注入するタイプに分かれます。
スパークリング日本酒の種類
①活性にごりタイプ
醪(もろみ)の状態から日本酒を絞った後、軽く濾過をした状態で、瓶に詰めたものです。白く濁った滓(おり)の中のたくさん酵母が、発酵を続けます。
酵母がたくさん存在するため、荒々しいガス感を感じる事が出来ます。
②瓶内二次発酵タイプ
活性にごりタイプと同じく、酵母がまだ瓶内で発酵を続けている状態のものです。
透明度が出るまで濾過をしているので、活性にごりタイプほど酵母の活動は激しくなく、(濾過によって酵母がある程度取り除かれているから)ピチピチと穏やかなガス感を感じられます。
また、瓶内二次発酵タイプは酵母の発酵を促し、ガス感を強くするために酵母と、餌である糖を足す場合もあります。
通常、瓶内二次発酵タイプと活性にごりタイプは火入れをしない生酒です。
火入れをしないことで酵母が活動を続け、炭酸ガスを発生してシュワシュワ感を出しているのです。
日本酒専門店においてあるシュワシュワなお酒はほぼ、このどちらかのタイプがほとんどです。
火入れのお酒は酵母が死滅していて発酵が進まないため、貯蔵中にガスが抜けてしまいますからね。
貯蔵期間が短いものであればガスが抜ける前に瓶詰めされるので多少のガスを感じることが出来ますが。。
ただ、最近の火入れの手法として「瓶燗火入れ」があります。日本酒を搾った後に瓶に詰めてから、火入れを行う方法です。(通常は貯蔵前に一度目の火入れ)
絞った直後に瓶に詰めるため、火入れ前に発生したガス感が保たれたお酒が出来ます。結果、1回の火入れで品質を保ちつつ、しっかりガス感も残るんです。
日本酒は「火入れ」という作業をしている 日本酒は仕上げの段階で「火入れ」をします。 火入れとは日本酒内で発酵している酵母の働きを止め、品質を安定させるための作業のことを言います。 ラベルに何も書いていなければ通常は火入れされた日本[…]
③炭酸ガス注入方式
これは人工的に炭酸ガスを注入するタイプ。市販の炭酸飲料と同じ方法です。
火入れは通常通り行うので酵母は活動していておらず、品質も安定して管理しやすいのが特徴です。未開封であれば常温保存が可能です。
スーパーやコンビニに置いてあるスパークリング日本酒は、この炭酸ガス注入方式のタイプのものです。
炭酸ガス注入タイプはアルコール度数が低く、5%前後のものが多いです。ビールと同等か、もっと低いくらいですかね。
滓がたくさん混じっていて白く白濁しているほど、たくさんの酵母や成分が混ざっています。その分、味も複雑でガス感も強いです。
- アルコール度数高(16%~18%くらい)&白濁している
→ガス感が強く、どっしりした飲み口 - アルコール度数低(5%~12%くらい)&透明に近い
→ガス感は弱く、軽い飲み口
となる傾向があります。
日本酒初心者の方や軽く日本酒を楽しみたい方は、まず炭酸ガス注入方式タイプを飲んでみて、瓶内二次発酵タイプ→活性にごりタイプとステップアップしていくといいと思います。
活性にごり、瓶内二次発酵タイプの日本酒は抜栓に注意!
瓶内二次発酵と活性にごり酒は瓶詰め後も酵母がガスを発生させ続けています。
お店の人に注いでもうらう分には問題ありませんが、自分でスパークリング日本酒を購入する際は注意が必要です。
瓶内にはガスが充満しています。持ち帰る時に大きく揺らしながら運んだり、冷蔵庫に横置きで保管したりしないようにしましょう。
また、一気に蓋を取ると勢いよく中身が噴き出す恐れがあるので、栓を左右に傾けながら空気を抜きつつ、ゆっくりと開けましょう。
あと冷蔵庫の中に保管していると、ガスの力で蓋が飛んでることも。
活性濁りタイプには蓋の中心に穴が空いていて、これはガスを逃がすためのものなんですが、蓋に穴が空いていても噴き出す確率が高いです。
流しで開けるか、テーブルで抜栓する際は新聞紙を敷くとか、周りに物を置かないようにして万全の体勢で臨みましょう。
開封であっても早めに飲んでしまいましょう。