元きき酒師の日本酒講座と育児お役立ち情報ブログ

日本酒ラベルで見かける「号」ってなんの意味?

「号」という表記はタンク番号のこと!

日本酒の裏ラベルや表ラベルに「号」という表記を見かけることがあります。これは「タンクの番号」を表しています。

日本酒は通常いくつものタンクで造られます。そしてタンクそれぞれ個体差があります。
基本は貯蔵し終わったタンク内のお酒は味が均一になるように混ぜて調合されるのです。

はてなのカエル
けろりん
え?タンク毎に味が違うってこと?
笑顔のたま先生
たま先生
そうです。
はてなのカエル
けろりん
でも原料も造り方も同じなんでしょ?
笑顔のたま先生
たま先生
確かに原料は同じお米、同じ麹、同じ水、同じ酵母です。じゃあ、タンク内のお酒が同じ香味のお酒になるかというと、そうはなりません。
はてなのカエル
けろりん
なんで?
笑顔のたま先生
たま先生
日本酒は人と、酵母が造るから。機械じゃないから全く同じにはならないんです。例えば同じ人が同じ筆で文字や絵を何枚も書いた場合、微妙に仕上がりが違ってくるでしょ?

 

ほほーのかえる
けろりん
あー確かに。

日本酒はタンク内の酵母の頑張り具合、またはタンクの位置によって湿度や温度の違い等があるため、味に微妙な差が生まれます。(蔵の奥にあるタンクと蔵の出入り口側に置いていあるタンクは気候条件が違う、等)
通常の日本酒はこのタンクの個体差をなくすために、混ぜて平均化しています。

逆に「号」と書かれているものは個々のタンクの日本酒を混ぜず、タンク個別のお酒そのもので出荷したもの、という意味です。

タンク個別の商品として有名なのは喜久盛酒造のタクシードライバーですね。

タクシードライバー(喜久盛酒造)

名前もラベルも一度見たら忘れられないインパクトのあるお酒ですが(笑)、この日本酒はタンクの平均化を行っていません。ラベルには小さいですが、「仕込み●号」という表記があります。
タクシードライバーはタンク個々の味の違いを楽しめるお酒なのです。

汗をかくたま先生
たま先生
でもタクシードライバーのラベルは常に一緒なので、普通に買っているだけだと中々そこまで気がつかないかもしれません。

 

タンク番号表記はどういう順番で付けられている?

酒蔵にはいくつもお酒を造るための仕込みタンクがあります。大きい酒蔵さんほどたくさんのタンクがあり、そのひとつひとつに番号が振られています。そしてそのタンクに順番にお酒を仕込んでいきます。

更にラベルにかいてある「号」には二種類の意味があります。

タンク番号仕込みタンクそのものに書かれている番号
仕込み番号醸造年度内でのタンクの仕込み順を数字で表した番号

 

笑顔のたま先生
たま先生
タクシードライバーの号数は仕込み番号の方のことですね。

黒龍 八十八号(黒龍酒造)

また、タンク番号そのものをラベルにしているお酒もあります。
黒龍シリーズの、お酒の名前にもなっている「八十八号」。こちらはタンク番号を表しています。品評会で金賞を受賞した時のお酒を仕込んだタンクであり、縁起の良い番号ということで名前に使用されています。「出来の良いタンクの中のお酒をいったんこの八十八号タンクに集めたお酒」となっているそうです。

また、通常のお酒は混ぜて平均化しているけれども、常に出来の良いタンクがある場合等は「○○号タンク仕込み」と他商品とは区別して、タンク個別商品として販売している蔵元さんもあります。

 

なるほど!のカエル
けろりん
日本酒造りは微生物の働きによって違いが出るものだから、それぞれの号数が書かれた日本酒との出会いは一期一会なんだね。