「この日本酒の味が美味しいのは分かるけど、なんて表現していいか分からない…」⇒結果、「美味しいです!(終了)」となっていませんか?
日本酒の味わいを言葉で表現出来るようになると、好みの日本酒に出会える可能性が高くなります!
まずは基本!「甘・辛・淡・濃」で表現
日本酒を飲んだ時の味わい表現でよく使われるのは甘口か辛口か、淡麗か濃厚か、という分類方法です。
これらを組み合わせて淡麗辛口、濃厚甘口、などと表現します。
これだけでも味の特徴は想像出来ますし、居酒屋・酒屋でお店の方にリクエストするならある程度通じます。
しかし日本酒は甘辛濃淡だけでなく、酸度やアルコール度、香りも密接に関係しています。
甘口であっても濃厚タイプだとアルコールのキレが際立ち、辛口と感じる場合があったり、逆に辛口でも香りが華やかだと甘く感じたりもします。
なので甘辛濃淡に、香りと酸味の強弱などもプラスして表現するとより具体的になります。
四つのタイプ別!日本酒の味わい表現例
とは言っても日本酒の表現は様々なものがあり、ひとつひとつ日本酒銘柄を例に挙げているとキリがないので、今回は爽酒(そうしゅ)、薫酒(くんしゅ)、醇酒(じゅんしゅ)、熟酒(じゅくしゅ)の四タイプに分け、それぞれどんな風に言葉で表現出来るのか見ていきましょう。
爽酒、薫酒、醇酒、熟酒の詳細についてはこちら↓タイプ別に日本酒を紹介しています。
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爽酒(そうしゅ)
香りが控えめでアルコール度数が低く、軽くてサラサラした飲み口が特徴です。ほんのりとした甘味も感じられます。
爽酒の表現としては
- シンプルな酒質
- みずみずしい印象
- こんぺいとうのような優しい甘さ
- ソフトな飲み口
などがあります。
薫酒(くんしゅ)
ひと口めで広がる華やかな甘味と酸味が特徴で、甘酸っぱい印象の多いタイプの日本酒です。
名前の通り、香りも非常に豊かです。
薫酒の表現としては
- 果実や花を連想する華やかな香り
- 爽やかな酸味を感じる
- なめらかで繊細な飲み口
などがあります。
また、薫酒は華やかな香りと味わいが主体となるので、感じた果物名や花の名前で直接表現したりもします。
果物に例える
バナナ、リンゴ、メロン、パイナップル、イチゴ etc…
花にたとえる
バラ、桜、青梅 etc…
醇酒(じゅくしゅ)
原料であるお米の香味が特徴です。旨味を感じる余韻が長く続きます。
醇酒の表現としては
- 米本来のふくよかさを感じる
- 炊き立てのお米を連想させる香味
- 旨味が強く、コクもある酒質
- しっかりとした厚みのある飲み口
などがあります。
また、生もとや山はい造りの純米酒は、自然界の乳酸菌を使い乳酸を造り出しているので、力強い乳酸系の酸味が特徴です。
「チーズやヨーグルトのような香り」「乳酸を思わせる」などと表現したりします。
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熟酒(じゅんしゅ)
エイジングによる品質変化により、まろやかでとろみのある飲み口が特徴です。香りや味わいも一番複雑です。
熟酒の表現としては
- 全ての味覚に深みが出ており、余韻をしっかり感じる
- スパイシーな香り
- 熟成されたとろみのある飲み口
などがあります。
旨味をぎゅっと閉じ込めた乾物やドライフルーツ、ナッツの香りに例えられることも多いです。
ドライフルーツ・ナッツに例える
アーモンド、カシューナッツ、干ししいたけ、レーズン、シナモンの香り etc…
更に上級の味わい表現
「○○酵母を思わせるような…」
日本酒は使用酵母によって香味も変わってきます。
有名な協会酵母はそれぞれ特徴を持っているので、そのまま酵母名を日本酒の味わい表現に使ったりします。
清酒酵母とは 酵母はパンを発酵させたり、味噌や醤油が作られる際にも使用される、微生物のことを指します。 この様々な種類の酵母の中で、日本酒を造る時に使用される酵母を「清酒酵母」と言います。 酵母は微生物なので肉眼では見えません。清酒酵[…]
酸味や苦みを表現する
「正露丸や絵の具のような臭いがする」
4VGという、苦味のもととなる香り成分。
製造工程で発生するもので、日本酒の場合はマイナスなイメージを表す表現として使われることが多いです。吟醸香のバランスが崩れてしまうので良くないとされています。
日本酒の場合、と書いたのは、ビールの場合は誉め言葉として使われるからです。
4VGはヴァイツェンビールなんかにも含まれていて、こちらはヴァイツェンの大きな特徴香として評価されている香りです。
アサヒビールからもひと昔前、「くつろぎ仕込4VG」というビールを発売したこともありましたね。
ただ、日本酒の場合でも「この苦味がいい」と評価される面もあります。
「セメダイン臭がする」
日本酒の二大吟醸香と言われる香り成分には
- カプロン酸酸エチル=リンゴ香
- 酢酸イソアミル=バナナ香
があります。
発酵過程において酵母が発生させるのですが、そのほかにも酢酸エチル、という香りもあります。
この成分が沢山生成されると、セメダインのような香りになるんです。
「ツンとした臭いが鼻につく」と嫌う人もいますが、「シャッキリ感が出てよい」という評価もあるので、日本酒の特徴香として味わい表現によく使われます。
でもどちらも「香」ではなく「臭」と付くあたり、やはり日本酒界ではいい印象ではないのかもね。
(※おまけ)マニアックな味わい表現
風景や人物に例える
- 山田錦の田園風景が見える
- デビューしたてのアイドルのような
- しっとりした和装の女性のような
- オーケストラが聞こえる
※↑実際に日本酒飲みの友人たちが放ったセリフです(笑)
ちなみに私はまだまだここまでの神領域には達していません。。(到達出来る気もしませんが…)
色調の表現
また、日本酒の見た目の色調に関しては
- 冴えている(透明感がある)
- ぼけている(濁っている)
- 艶がある
- 輝きがある
などの表現があります。
日本酒の色調は目で観察するので味わい表現より言葉にしやすいと思います。
味が複雑すぎて表現できない、といった場合は、まず日本酒の色味から観察して言葉にしてみましょう。
以上、日本酒の味わい表現の一例のご紹介でした。
日本酒の美味しさをきちんと表現してみたい!という方は参考にしてみてください♪