利き酒(ききざけ)とは?
きき酒とは、出来上がった日本酒の品質を人が五感を使って判定する方法のことを言います。
もともとは市場に出回る日本酒の階級を決める為、きき酒のプロが判断していました。
下記の記事にも書きましたが、人間は「味」を五感(味覚、視覚、嗅覚、触覚、聴覚)で判断しています。
酒器を気にしてみると日本酒はもっと美味しくなるよ 「日本酒はおちょこで飲むもの」と思っていませんか?ワイングラスにはシャンパングラス用、味の濃いボルドー用等、様々なグラスがあります。なぜグラスの形が違うのかというと、飲み口も香りも味も全然[…]
日本酒は甘味、旨味、酸味、苦味などが複雑に絡み合っており、機械の数値だけでは判断しづらいところがあるからです。
今でも日本酒品評会などの審査では人が行うきき酒が実施されています。
自分でも利き酒をやってみよう!
本来の意味のきき酒は「品質に問題が無いか」をチェックすることが目的でしたが、最近は「個人で日本酒の特長を確かめて楽しむ」という意味でも使われています。
今は酒米と酵母の組み合わせも多数あり、同じ銘柄、同じ造り方で
- 酒米が違うもの
- 磨きだけが違うもの
- 酵母だけが違うもの
等、がたくさんあります。
同じ銘柄の条件違いのお酒をきき酒することで、原料や磨きが違うと味がどう変わるのか等を味わえます。
利き酒時のポイント
きき酒では
視覚→嗅覚→味覚
の順に確認していきます。
①目で液体の色を確認する
蛇の目おちょこが使いやすいです。「日本酒と言えばこのおちょこ」と言われるくらい有名な、底に紺色の蛇の目模様がついているものの、少し大きいものです。
今はぐい飲み用などで一般に使われていますが、もともとはきき酒をするための器です。
この蛇の目は単なる模様でついている訳ではなく、日本酒の色やてり、透明度を確認するための物差しとなっています。
まずは白い部分で色合いを確認します。
- 液体が透明である⇒
若いお酒、もしくは活性炭素による濾過をしたもの - 液体が黄色みがかっている
⇒熟成が進んでいる、もしくは無濾過の日本酒
濾過されていないものは旨味が乗っており、熟成している場合はまろやかな味の日本酒と言えます。
劣化している場合も黄色く着色するので、色だけでなく、次の段階の香りや味で最終的に判断する必要があります。
紺色部分では透明度を確認します。
透明度が高いことを「さえ」「てり」と言い、透明度が低いことを「ぼけ」と言います。
透明度が高い程、雑味の無いすっきりした味わいと判断されます。
また、糖分が高かったりアルコール度数が高いと、粘り気も出る為、酒器を少し揺らしてみて、側面にまとわりつくかどうか等もチェックします。
②香り、臭いを確認する
次は酒器に鼻を近づけて、香りや臭いをチェックします。
⇒香りの強弱、特徴、吟醸造りの場合は吟醸香(フルーツのような香り)がどのようにするか
また、製造工程で発生する劣化臭「老香(ひねか)」「つわり香」「瓶香・ゴム臭」等が無いかを確認します。
③実際口に含んで確認する
最後は少量の日本酒を口に含んで味わいをチェックします。
口に含んだ瞬間の印象、味の複雑さや強さ、口に入れた後に感じる香り等を確認します。
口に含んだ時の印象が一番重要ですが、その前に目で見て鼻で確認、という作業もきき酒には必要なんです。
きき酒したものをそのまま飲み込んでしまうと、酔っぱらって正しい判断が出来なくなるので、きき酒が終わったら「はき」という容器に吐き出すのが基本です。
きき酒師の試験でも吐き出すように指示されます。
②含み香(口に含んだ時に感じる香り)
③味の膨らみ(甘味を感じるか辛みや渋みを感じるか)
④後味やキレ
⑤余韻の長短
きき酒をする日本酒の順番にも注意する
先に濃厚タイプの日本酒を唎(き)いてしまうと次の日本酒の本来の特徴を正しく判断しにくくなります。
なので利き酒をする日本酒が複数ある場合、淡麗タイプから始めましょう。
注意点としては、だらだらきき酒をしているとアルコールで感覚が麻痺して判断できなくなること。
飲んでいなくても、香りを嗅ぎ過ぎていると、鼻が利かなくなってきます。
口に長時間含んでいてもそれは同じ。さらに唾液で味が薄まってきますから、長くても10秒くらいで判断することが必要です。