日本酒は本来、うっすら色がついているもの
たまに黄色い日本酒もあるけど、これは熟成酒だからじゃないの?
貯蔵期間が長く、熟成させたものも黄色がかってきますが、もともとの黄色い色は「濾過」という作業を経て透明になります。
現在は色が付いていないお酒の方が好まれているので、濾過によって透明になったお酒が多いです。劣化による着色でなければ、黄みがかっていても酒質を落とすものではありません。
着色する原因は原材料である米、麹、酵母、水に由来します。
地域や蔵元によって使用する原料がそれぞれ違うので濃さは様々です。
まず、日本酒は上槽(じょうそう)(酒かすと液体に分ける作業)後、滓引き(おりびき)をします。
滓引きとは液体中に残った滓(小さな酒かすや、酵母などの固形物)を取り除く作業のことです。
滓は数日置くと沈殿していきます。滓引き用のタンクは取り出し口が分かれており、上側を上吞口、下側を下吞口と言い、通常私達が飲んでいる日本酒は上吞口から取り出された部分です。
その後、まだ液体に残っている細かい滓を完全に除去するために濾過が行われます。
濾過の方法には濾過フィルターを通して行う方法と、粉末状の「活性炭」を入れることで雑味や色を吸着させて取り除く方法があります。濾過機を通した後、更に活性炭を使用する場合もあります。
濾過の目的
濾過機、活性炭素を使用して濾過する目的には下記が挙げられます。
1. 脱色
上槽・滓引き後に濾過することで、まだ黄色がかった色調のお酒の色を脱色する。また、出荷後に着色する可能性がある成分も取り除くことが出来る。
2. 香味の調整
余分な香り成分や異臭の原因となりうる成分や不要な微生物を除去することが出来る。
3. 品質を保つ
不要な微生物や成分を除去することで、瓶詰め後の酵素作用で過熟成を防ぐことが出来る。
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火入れと生酒の関係と同じく、濾過していないものは日本酒本来の香味を感じることが出来ますが、品質は不安定です。
反対に濾過しているお酒は品質は安定しますが、日本酒本来の旨味は削られ、すっきりした味わいになります。
この濾過作業を行っていないお酒のことを無濾過、活性炭素を使用しないで濾過したものを素濾過、と言います。
ただ、無濾過の定義も基準は曖昧で、実際は濾過フィルターを通していても活性炭素を使用していないから「無濾過」としている場合もあります。
それぞれの蔵元さんの判断によって無濾過と表示したり、素濾過と書かれたりします。
中には「素濾過もしていないよ!」をアピールするために、「完全無濾過」なんて表現も見かけますね。
「無濾過」と「生」「原酒」はセットになっていることが多い
生酒、原酒、無濾過については今までの記事も含めてご紹介してきました。
「原酒」とはお水を足していない、アルコール度数の高い日本酒 ラベルにもよく書いてあるのが原酒という言葉。日本酒は通常、最後に水を加えて造られます。 日本酒が出来上がった時のアルコール度数はだいたい18%前後。そこから水を足して15~17[…]
無濾過=濾過フィルターを通していないお酒
生酒=火入れしていないお酒
原酒=水で割っていないお酒
それぞれが独立した商品もありますが大体、この3つのタイプは一緒になっていることが多いです。
品質が安定しない生酒と無濾過のお酒ですが、アルコール度数の高い原酒のままにしておくことで劣化の可能性を下げることが出来るからです。
無濾過生原酒はまずはそのまま飲んでみて、その後自分で加水(=氷や水を入れてみる)、火入れ(少し湯煎してみる)など、色々試してみると違った味わいが楽しめますよ。