料理酒は日本酒と同じ?晩酌用に飲めるのか
飲める料理酒と飲めない料理酒がある
酒飲みなら一度は抱いたことのある、
料理酒って原材料は米だよね、なら日本酒代わりに飲めるのか…?
料理酒は値段も安いし、飲用出来て料理にも使えるなら一石二鳥じゃないの?
という疑問。
実際、料理酒が日本酒とどう違うのか見ていきましょう。
まず、料理酒には飲めるものと飲めないものがあります。
飲めない料理酒=原材料に米、米麹以外の調味料(主に塩)が入っている
飲めないタイプの料理酒は、日本酒に塩や砂糖を加えて飲めないようにしてあります。
日本酒に調味料を入れることでお酒分類から外すことが目的です。
お酒(日本酒)じゃないので酒税がかからず、価格を抑えることが出来ます。
飲める料理酒=原材料は米、米麹、醸造アルコールのみ
飲める料理酒は「米、米麹、醸造アルコール」だけで造られています。
日本酒と原材料が同じで清酒扱いとなり、調味料等は入っていないので飲めます。
日本酒と同じ分類なので酒税がかかり、飲めない料理酒よりも値段は高くなります。
まとめると…
原材料 | 酒税 | 価格 | |
飲めない料理酒 | 米、米麹、醸造アルコール他、食塩、糖類などの調味料 | かからない | 安い |
飲める料理酒 | 米、米麹、醸造アルコール | かかる | 高い |
となります。
飲める料理酒もあるけど、「調理用に適した造り」になってるから美味しいかは別
料理酒に期待されている効果とは
調理に使うための料理酒は名前の通り、「料理が美味しくなるように」造られたものです。
料理にお酒を使う目的には
- 素材の臭みを消す
- コクや旨味を付ける
- 風味を付ける
- 素材を柔らかくする
等がありますが、
中でも料理酒に期待されている効果として大きいのは
コクや旨味を付けること
です。
原料米のタンパク質は麹に分解され、アミノ酸と言う旨味成分に変わります。
お米の旨味成分の元となるたんぱく質は、主にお米の外側に含まれています。
旨味成分がしっかり出るように、料理酒に使用されるお米はあまり削られていないのが一般的。
一方でタンパク質が多いとアミノ酸由来の旨味は出ますが、雑味の原因にもなります。
なのであまり削られていない料理酒は、日本酒を飲んだ場合よりも味が濃いというか、若干エグみや雑味が感じられることが多いはずです。
飲める料理酒と日本酒の違い
原料が「米、米麹、醸造アルコール」のみの料理酒をそのまま飲んでも身体に害はありませんが、下記を踏まえた上で飲用しましょう。
- 飲用出来る料理酒は日本酒に比べて低精米(あまり削っていない)
- 旨味成分を出すことを重視している為、雑味も多い
- 口に合えば飲んでも良い
料理酒用と飲用、併用するなら純米酒がおすすめ
わざわざ料理酒を買わずに日本酒を併用したい!
と言う場合は純米酒を選びましょう。
上述のように、調理用に料理酒を使う目的は旨味を付けることです。
純米吟醸クラスになると、原材料であるお米が4割削られています。
旨味成分の元となるたんぱく質部分が削られるので、料理に使ってもコクが出にくいです。
同じ理由で、大吟醸、純米大吟醸、吟醸酒も料理酒としてはあまり向いていません。
同じお酒なので素材の臭みを消したり、柔らかくする効果はありますが、旨味をプラスする効果はあまりありません。
純米酒であればそれよりも低精米なため、米の旨味成分を料理にプラスする事ができます。
また、吟醸酒系は吟醸香がするように造られている日本酒です。
この吟醸香は飲用する分にはいい香りですが、料理に使用するとかえってこの香りが邪魔になってしまう場合があります。
料理と日本酒にも多少相性がありますからね…。ご興味があれば下記記事も読んでみていただけると嬉しいです↓
たま先生 今回は日本酒とお料理の相性のお話です。 日本酒を飲む時はだいたいお料理と合わせて飲みますよね。居酒屋やレストランに行ったときに、「お造りにはこの日本酒が合いますよ」とか「肉料理にピッタリ!です」等、アドバイスさ[…]
…と言う訳で、吟醸系の高精米の日本酒は料理に使わず、さっさと飲んでしまいましょうー
また、合成清酒を料理酒がわりにするのもあまりおすすめしません。
合成清酒は醸造アルコールの分量が多い(米の旨味成分が少ない)上、糖類や酸味料が添加されています。
料理の味が決まりにくいし、旨味もつきません。
合成清酒を料理酒に代用するなら飲める料理酒を買った方が安いし、料理も美味しく仕上がりますよ。
料理酒の代わり日本酒を使用する場合の注意点
もし純米酒を料理に使用するのであれば下記の点に注意しましょう。
薄味に感じる場合は塩を足す
飲めない料理酒の代用として日本酒を使う場合、塩分が足りないと感じる可能性があります。
飲めない料理酒は酒分類に入らないよう、塩が添加されています。その塩分濃度は3%前後の物が多いようです。(海水濃度と同じくらい)
日本酒に塩味は含まれていないので、最後に塩で調整しましょう。
アルコールを飛ばす時間を長くする
妊婦さん、小さなお子様がいるご家庭は日本酒よりも料理酒を使った方がいいという意見もあります。
これは日本酒の平均アルコール度数が料理酒よりも高いからです。
料理酒のアルコール度数は14度。一方、日本酒の平均アルコール度数は16〜17度です。
アルコールは火にかけてしまえば飛んでしまいますが、日本酒を料理に使用する場合は沸騰時間をやや長めに取り、しっかり煮切りましょう。
酒蔵が造った料理酒スペックを見ると日本酒との違いが分かりやすい
料理に純米酒は使えるけど、料理酒は純米酒よりもアミノ酸がたくさん生成されるように造られています。
今回はちょうど今年のDANCYUに掲載されていた、蔵元が造った料理酒のスペックを見てみましょう。
※dancyuは毎年3月号は日本酒特集ですよー、日本酒にご興味ある方はシーズンになったらチェックしてみてくださいね。
仁井田本家 旬味
こちらは福島の酒蔵さんです。この料理酒のスペックを調べてみると…
- 原材料:米、米麹
- 精米歩合:90%
- アルコール度17度
となっています。
アルコール度数は17度と、日本酒の平均度数と同じですが、精米歩合が90%。
ほとんど削られていません。
純米酒の精米歩合は高くても70%前後のものが多いです。
米が10%しか削られていないのは、旨味成分に変わるたんぱく質をたくさん残しておくためです。
杜氏 百福蔵 琥珀の料理酒
こちらは福岡の酒蔵さん。
スペックは
- 原材料名:米(国産)、米麹(国産米)、酒粕
- 精米歩合:–
- アルコール分:15度
となっています。
こちらの料理酒は原材料の中に「酒粕」が入っています。飲用に造られる日本酒の原材料に酒粕が含まれることはまずありません。
ただ、酒粕はそのまま食べられますし、酒粕が入っていても清酒扱いになるので飲むことが出来ます。
日本酒造りの三段仕込みが終わった後、プラスもう一回仕込みをする時に酒粕を追加。
酒粕が原材料に入ってくることで風味や旨味成分が増し、コクが出ます。
仕込み回数を多くすることでお酒を甘口に転ばす狙いもあり、無駄に砂糖を添加しなくても自然な甘さが出せる訳ですね。
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精米歩合は非公開ですが、こちらもあまり削られていないと思われます。
飲用可能ですが、やはり料理が美味しくなるように造られた料理酒ですね。
蔵元さんが造った料理酒なので、余計な添加物はもちろん入っていないし飲めます。
飲んで美味しいかどうかは是非、ご自分で判断してみて下さいね^_^
このように料理酒は「飲用よりも調理用に適した造り」になっています。
料理酒を飲んでみて美味しいかは個人の判断によりますが、飲用メインならやはり料理酒では無く、通常の日本酒がおすすめですよ。