私はきき酒師の試験を受けて資格を取得しましたが、日本酒に関する資格はいくつかあります。
趣味で勉強したいのか、プロとしてアドバイスや提案が出来るようになりたいのかで受ける資格を選ぶと良いと思います。
今回は「きき酒師」の資格の位置づけ、勉強法、試験の流れや費用などをご紹介します!
日本酒の資格の種類
日本酒に関する資格には以下のものがありますが、下に行くほど難易度が高くなります。
まとめるとザクっとこんな感じです。※2021年4月現在の情報
資格名称 | 受験資格 | 試験内容 |
日本酒ナビゲーター | 20歳以上であること | 日本酒基礎認定講座受講、試飲 |
日本酒検定 | 20歳以上であること、2級以上の受験の場合は1つ下の級に合格していること | 筆記試験(選択方式) |
きき酒師 | 20歳以上であること | 1次~2次試験【筆記(選択・記述)】、3次試験【テイスティング・筆記】、4次試験【筆記(記述)】 |
酒ディプロマ | 20歳以上であること | 1次試験【筆記試験】、2次試験【テイスティング・論述】 |
酒匠 | ・所定のレポートを提出した者(※) テーマ:「酒類1商品をテイスティングし、その香味・個性を評価せよ」※下記該当の場合は提出不要 ・SSIが主催する「蔵元体験実習」に1回以上参加したことがある ・FBO認定会員在籍通年年数が3年以上 |
1次試験【筆記】、2次~4次【テイスティング】 |
酒ディプロマは一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)が、その他は日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)が認定しています。
青文字のきき酒師、酒ディプロマ、酒匠は筆記試験に加え、テイスティングの試験があります。
私が受けたきき酒師は、酒ディプロマとペーパー試験の難易度はあまり変わらないように思えますが、酒ディプロマは焼酎に関する知識やテイスティングもあって範囲が広くなる分、難易度が上がるのではないでしょうか。
酒匠以外は20歳以上であれば誰でも受験可能です。
酒匠だけはFBO会員でなかったり、蔵元見学に行っていないと試験を受ける前からレポートの提出を求められます。
一方、日本酒ナビゲーターは試験は無く、認定講座を受講した段階で認定してもらえます。
こちらは2010年取得。だいぶ前です。
私はきき酒師試験を受ける前にこの日本酒ナビゲーターの資格認定をもらったのですが、受講するだけだったのでなんだか物足りず…。
もっとこう「資格取ったで!」感が欲しかったため、きき酒師の取得へ踏み切ったのでした。
「きき酒師」の取得方法
私がきき酒師の講習・試験を受けたのは2015年と少し前ですが、コースや試験内容はあまり変わっていないようです。
日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)から申し込め、下記のコースから選択することが出来ます。
一日通学コース
講習日(1日)と試験日(1日)が別日になっているコースです。講習を受けたのち、一年以内に試験を受けます。
2日間集中プログラム
2日間で受講・認定試験までいっぺんに受けることが出来るので、遠方の方の参加も多いようです。
eラーニングプログラム・通信プログラム
事前にテキストで学習し、その後課題を提出。基準に達すれば合格することが出来ます。
テイスティング用の日本酒サンプルも小瓶で送られてきます。
私はこの中の一日通学コースで取得しました。
一日通学コースと集中プログラムコースは東京と大阪で開催されています。
通学コースだと講習会・試験日の2回会場へ行く必要があるので、東京・大阪以外にお住まいの方はオンラインプログラムか、集中プログラムの方が便利です。
きき酒師取得一日通学コースの内容
主に2冊のテキストに沿って講習会が進められます。
テキストはこちら。もてなしの基(もとい)170ページと日本酒の基(もとい)228ページ。
これを1日でやるんですよ。。日本酒の基(もとい)の方は興味もあって結構読み込んだのでボロボロです。
きき酒師資格取得プログラムに申し込むとテキストが送られてきますが、アマゾンでも取り扱っているようですね。
今は新訂版になってます。
講習会の内容は日本酒にまつわる歴史や文化、日本酒製造方法、特定名称酒の違い、マナー、酒器の選び方、提供サービス方法等について学びます。
日本酒の比重程ではありませんが焼酎、リキュール類についても説明があります。
そのあとは実践タイム。サンプルを使っての嗅覚や味覚のトレーニングです。
薫酒、爽酒、醇酒、熟成酒のききわけ方を教わり、更には劣化酒がどんな香りでどんな味がするのかも確認しました。
けろりん ラベルの見方とか日本酒度とか、アミノ酸度とか難しい!理屈はいいからもっと簡単に日本酒を選べる方法はないの!? たま先生 自分がどういうタイプの日本酒が好きなのか、お店の人に選んでもらうにしてもどう[…]
講習会後半は食べ物との相性を実験するため、おつまみ程度の食品サンプルを使って日本酒のペアリングを学びます。
一日の限られた時間の中、すごい情報量でした。
事前にテキストに目は通していたものの、かなりくたびれました。
※ちなみに講習会も試験も試飲する日本酒は口に含むだけで、紙コップに吐き出せます。
なので飲めない方でも受講・受験は可能ですよ!私は勿体ないから飲みましたけど(笑)
「きき酒師」試験の勉強方法
一日通学コースは講習後、自分で試験日を決められるので試験日まで余裕を持たせれば復習・テスト勉強が出来ます。
あまり空きすぎると今度は忘れちゃうので、出来れば試験は1か月以内に受けることをお勧めします。。
①例題集に目を通す
日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)>唎酒師試験例題のページに1次~4次試験までの例題集が掲載されています。
あとはこちらは例題と解答例も載っていますね。
例題集1 例題集2
また、日本酒検定のページにも前年度の検定問題が掲載されています。
2級、準1級の問題が、きき酒師のペーパー試験内容に近い気がするのでこちらもチャレンジしてみましょう。
先に過去問題集や例題集に目を通しておいた方が、テキスト内容が頭に入りますよ。
②「大事」と言われたところはしっかり暗記する
一日で2冊のテキスト内容に沿って講習会が進んでいくわけですが、時間も無いので全てのページをやるわけではありません。
「ここ重要です」とか「項目の違いは把握できるように」などのアドバイスがあった部分は細かい部分でも高確率で出題されます。
↓こちらはもてなしの基(もとい)の酒類の原料や製造別分類チャート。
日本酒以外の項目ですが、ここからも出題されました。小さくリキュールの種類等が書かれていますがこのページも重要です。なんかしら出ます。
③日本酒屋さんに飲みに行く&蔵元イベントに参加する
きき酒師の試験は筆記だけでなく、テイスティングも含まれます。
銘柄を当てる…なんて難易度の高いものではありませんが、薫酒、爽酒、醇酒、熟成酒の違いはテイスティングサンプルから当てなければなりません。
日本酒屋さんで純米酒、吟醸酒、熟成古酒などを飲んで、香りや色、味の違いの傾向を復習しておきましょう。
私は東京大森駅にある「吟吟」という日本酒居酒屋の蔵元会に参加したりしました。
今はコロナの影響でイベントも減ってしまっていますが、オンライン蔵元会を開催する蔵元さんも出てきています。
蔵元会だと同じ銘柄の特定名称酒違いを飲み比べが出来るので勉強になりますよ。
「きき酒師」試験当日の流れ
試験は1次、2次が選択形式の筆記試験、3次がテイスティングと記述、4次も記述です。
1次、2次試験
一部、記述回答形式がありますがほぼ選択形式です。各50分間、約50問ずつです。
のんびり考えていると結構時間無くなります。
3次試験
提供された日本酒サンプル5種の特性を視覚・嗅覚・味覚で判断し、どれが薫酒、爽酒、醇酒、熟成酒なのかを推測します。
残りの1種類は劣化酒です。
講習会で提供されたサンプルと同じ、分かりやすいタイプが出題されます。
講習会できちんと違いを理解していれば、まず問題ないと思います。
熟成酒と劣化酒はどちらも色がついていて目だけでは分かりません。
香りと、口に含んだ印象で判断します。
- 熟成酒⇒複雑な香りと長い余韻
- 劣化酒⇒老香と厚みの無い味
香りだけで判断するのは難しいかもですが、飲んでみると全然違います。
熟成酒は口に含んだ後、ググーっと余韻が続くのですが、劣化酒はスカスカでいきなり味が消える感じです。
4次試験
香味特性別分類(4タイプ)のうちの1種類を選び、そのタイプの日本酒であればどんな酒器でどんな料理と合わせればよいか、提供シーンはどんな場面か、提供温度や季節はいつが最適か、など企画立案します。
完全記述式なのでがっつり書きましょう。
私が試験を受けた時は3次試験で判断した4タイプのうちふたつを選び、それぞれをプロモーションする、というやり方でした。
「3次試験で出題されたAの日本酒は薫酒です。だから料理は○○を合わせます。」といった感じに。
今は4次試験は独立して、3次試験で判断した日本酒は関係なく4タイプから選択できるっぽいですね。
日本酒に関する資格取得にかかる費用
合否通知は2週間前後で郵送されてきます。
ただ、このきき酒師の資格、試験に受かってもFBO認定会員になるための入会金や年会費を払わないといけないという…
きき酒師費用
通信プログラム |
78,400円 |
2日間集中プログラム | 79,200円 |
受験プログラム・オンデマンド受講コース / 1日通学コース | 58,800円 |
eラーニングプログラム | 68,800円 |
この受講受験料にプラスして
- 認定料 25,000円
- 入会金 19,000円
- 初年度年会費 15,900円
が、かかってきます。
通学コースは一番安いんですけどね。なんだかんだで12万近くなります。
高い…(汗)
日本酒ナビゲーター費用
11,000円(税込)(講習料、専用テキスト代、教材酒、マリアージュ教材他含む)
日本酒検定費用
1,000~5,250円(受験級、受験日、受験方法により異なる)
酒匠
受講受験料 78,000円、認定登録料 25,000円
酒ディプロマ
1次試験は2回まで受験可能で、1回で受かる自信が無ければ2回分を先払いすることでお得になるようです。1次試験通過後、2次試験が受けられます。
※受験時非会員の場合
- 一回受験費用 29,600円
- 二回受験費用 34,440円
受験時に協会に入会すれば受験費用・入会金も更に安くなるようですが…
「1次試験に1回目の受験で合格されても2回目の受験料の返金はありません」ってひどくない?受かったら返してよー(笑)
こんな感じでテイスティング試験がある日本酒の資格はとにかく取得価格が高いです。
さらに資格を持ち続けるには年会費も必要になります。
なんかお金を払えば資格が保持できる…っていうのもおかしい気がして、私は年会費を払うのをやめました。
「元」きき酒師なのは年会費払ってないからです(^^;
趣味レベルであれば「日本酒ナビゲーター」、「日本酒検定」でもOK!
きき酒師は日本酒提供販売者向けの資格なので、この資格を取得するのは飲食店関係の方が多いです。
私は仕事には直接関係ありませんでしたが専門知識を身に付けたかったので、きき酒師を選択しました。
(テイスティング方法も学びたかった)
知識はとても深まりましたし、日本酒をより楽しめるようになったので受けてよかったなと思っています。
落とすための試験では無いのでちゃんと勉強していれば大丈夫です。
ただ繰り返しますが、きき酒師以上の資格は取るのに結構なお金がかかります。。
もし「消費者として日本酒を楽しく飲みたい!」という目的であれば「日本酒ナビゲーター」、「日本酒検定」でも勉強になります。
日本酒ナビゲーターは試験はありませんので気楽に受講できます。
日本酒検定の場合は4級・5級であればスマホからでも受験可能で、さらに受験期間内であれば合格するまで何度でもやり直せます。
入会や年会費は払わなくても試験は受けられますので「ちょっと腕試し」感覚でチャレンジしてみてはいかがでしょう。
以上、きき酒師の試験の受講・受験についてと、その他の日本酒関連資格との比較でした。